
夏季休暇中、イギリスへ行ってまりました。
渡英の一番の目的はBakewell Puddingを食べること。
ワーホリ中に行くことができなくて悔やんでいた事がやっと実現できました。
イングランド北部ダービーシャー、渓谷が美しいピーク・ディストリクトの東側にある町がベイクウェルです。

ぐるっと一周するのに一時間もかからない小さい町です。
この町の名物がベイクウェル・プディング!
写真上部のホテルはベイクウェルプディングの歴史において大事な場所です。
しかしながら、同じベイクウェル出身でイギリス菓子として名が売れているのは、Bakewell Tartの方ではないでしょうか。

ベイクウェルタルト、ベイクウェルケーキなどなど
ロンドンはもちろんイギリス全土どこでも手に入るイギリス人に愛されているお菓子です。
基本的にアーモンド粉入りの生地に、中に苺やラズベリーのジャムが入っています。
そう、これらのタイプのタルトやケーキはどこでも食べられるのです。
そして現地に行かねば食べられないのが、ベイクウェル・プディングです!
タルト?ケーキ?プディング??何が違うの?という感じですよね^^;
そのあたりも含めて私が現地に行って体験してきた事をこれより長々と語りたいと思います。
長くなりますので、お時間のある時にお読みいただければ嬉しいです。
さて!
ベイクウェルプディングとは~という歴史的なものはwikiを参考にしていただきつつ、
菓子の歴史というものは諸説あるものでして、ちなみに私が現地で買った歴史書によりますと、
先程の写真のホテル(The Rutland Arms Hotel)がホテルではなくInnだった頃、女主人のMrs.GreavesがウェイトレスのAnnさんにジャムプディングを作ってくるようにお願いしたら、配合をちょっとだけ間違えちゃって、でもそれをお客様にそのままお出ししたら大喜び、怪我の功名、 Mrs.Greaves はそのレシピをしっかりメモしてInnの秘伝のプディングとして受け継がれていくという感じです。
間違いから生まれたベイクウェル・プディングが、現在は我こそが元祖!いや我々が本家!みたいな感じでベイクウェルプディングを名物として販売しているお店が何件かあります。
ざっと町を歩いて発見したお店は4軒。
4軒全てイートインするのは時間が足りないので、
宿泊したベイクウェルのB&Bのご主人にどこが一番美味しい?と聞いたら、
「The Old Original Bakewell Pudding Shop1択!」というお答えをいただいたので、
現地の人がそこまで言うのならば、まずは“The Old Original Bakewell Pudding Shop ”へ行ってきます。

深緑の看板にベイクウェルプディングの絵が書いてあります。


ショーウィンドウにはプディングはもちろん、焼きたてのパンやペイストリーがずらずらっと!美味しそう!
一階はテイクアウトとお土産スペース、奥には簡単なイートインスペースもありました。

2階はしっかりと食事のとれるレストランとなっています。
せっかくなのでこちらでプディングをいただきました。

事前調べで極甘という情報を得ていたので、食べきれるか不安だったためスモールサイズを注文しました。
デザートには温かいカスタードまたはクリームの付け合せを選べます。

半分に割ってみました。
パイ生地がサックサクで、中は全体的に茶色くとろりとして濃厚なシロップのようです。苺ジャムとアーモンドフィリングが混ざり合ってしまっています。
しかしながら事前情報ほどの極甘ではなく、甘みは強いですがコクのある甘さで後味がすっきりというか意外とぺろりと食べれちゃいました。アーモンドエッセンスは入っていないのかな?という感じあまり香りませんでした。

添えたれたカスタードも温かいうちにお見本のようにかけて食べてみます。
ちなみにイギリスのカスタードは日本のいわゆるカスタードクリームのように濃厚な味ではなく、甘さ控えめでさらりとしているのが特徴です。菓子自体が甘いのでその分甘さを抑えたカスタードやクリームを合わせると味の調和が取れるという感じです。
しかしながら、こちらのカスタードは薄すぎる…お湯臭い…うーん、シェフ!今日は薄めすぎですぞ!
カスタードは残念でしたが、プディングはパイのサクサク感とフィリングの色々な甘みがミックスしたコクを感じる甘さが美味しかったです♪

あー美味しかったなー!とB&Bに戻ったその晩、
お店のHPを見てアレ!??となったのです。
私が食べたやつとビジュアルが違う。。。(→こちら)
え?!なんで??
これはまさかの大きさの違い…!?
小さめに焼くのと大きめに焼くのではテクスチャーが変わってしまうことがよくあります。あとは提供時に温め直しで変化してしまったのか、その日のシェフの気まぐれか。
ということで、

他3店のベイクウェルプディング + The Old Original Bakewell Pudding Shop リターンズで大きめサイズ!
①The Bakewell Pudding Parlour
くねくねとうねったパイの形が特徴的
②Bloomers of Bakewell
こちらも元祖と名乗るお店の一つ
③The Bakewell Tart Shop
他と比べて一番厚みがある
④The Old Original Bakewell Pudding Shop
一人じゃ食べ切れないぜ!大きめサイズ!

半分に切ってみました。
四者四様です。ぜんぜん違う。
そしてThe Old Original Bakewell Pudding Shopのやつも昨日食べたやつと見た目がぜんぜん違う。
以下、私とこんなマニアック&拷問に近いプディング食べ比べに付き合ってくれた友人との意見を綴ります。あくまで個人の意見です。
① The Bakewell Pudding Parlour
色からして判断できる卵の多さ、見た目通り卵黄の濃厚さが強い。
ラズベリージャムを使っていて、甘酸っぱさと香りが良い。ほんのりとアーモンドエッセンスの香り。
パイはかなり厚めで湿気ってしまっている。
② Bloomers of Bakewell
パイは塩味が効いていて、ちょっと湿気ってしまっている。
フィリングはスポンジに近いくらいのケーキっぽい食感の重めのアーモンド生地で卵の良い香りがする。苺ジャムがはっきりと分かる。
なによりもアーモンドエッセンスの香りがとても強い。
③ The Bakewell Tart Shop
こちらは表のシールに店名が記載されているけれど、裏の食品表示シールには他店のベーカリーの名前が書いてあったので、こちらで焼いているものではないかもしれません。
パイがザクザクとしてよく焼かれていて美味しい。
フィリングがとってもしっとり柔らかでプリンのよう。卵の香りを感じ、アーモンドエッセンスはあまり感じない。ラズベリージャムが入ってるようだけど溶け込んでしまっている。甘さが一番強い。
④The Old Original Bakewell Pudding Shop
昨日食べたものよりパイが湿気っている。
フィリングがプリンのよう。なめらかでとろりとした口当たり。甘さも小さめサイズよりも強く感じ、アーモンドエッセンスがほのかに香る。苺ジャムもちゃんと分かる。
大雑把に表現して甘さの強いカスタードパイのような感じ。
すべて買った当日に食べてはいますが、持ち帰りでレンチンして試食していますのでパイのサクサク感はイートインで食べるものより劣っている可能性があります。可能性はありますが、明らかに商品がフレッシュではないお店がありました。
そしてどれが一番美味しいのか?というと、4つとも違いすぎて好みによる!という感じではありますが、個人的にはトータルのバランスで④番が好みかなと思います。昔から作られているような素朴さも感じて良いです。
なんだかんだで偉そうに食べ比べなんぞいたしました。
あー みんな違って面白かった!おいしかった!
と満足げにベイクウェルを離れてから気が付きました。
なんだかんだと偉そうに上記で歴史を述べていた、それこそ元祖であろうはずのThe Rutland Arms Hotelのプディングを食べてくるのを忘れたことに。。。すべて今回で食べきる!と思っていたのに、心残りができてしまった…
ちなみに、
ベイクウェル・プディングとタルトの違いですが、

アーモンドエッセンスの香りが強い
ベイクウェル・プディングは、
土台がパフペイストリー(何層にもなった一番手間のかかるパイ生地)、
苺またはラズベリージャムを敷き、アーモンドカスタードを流して焼いたもの。
ベイクウェル・タルトは、
土台がショートクラストペイストリー(一番手軽であまり膨らまないパイ生地)、
苺またはラズベリージャムを敷き、アーモンドスポンジを流して焼いたもの。
土台のパイ生地の違いとフィリングの硬さが違います。プリンぽいかケーキぽいかという感じ。
個人的にはタルトの方がもれなくアーモンドエッセンスを多めに使われている印象です。
そしてタルトはアーモンドスライスをのせて焼いただけのシンプルタイプと、仕上げにたっぷりのアイシングをかけてチェリーもトッピングしたりする甘々タイプがあります。

こうして今回の旅の一番の目的が終了いたしました。
自分の経験上、名物はその現地のものを食べなければ本当の味が分からないという考えがあるため、本場の味を体験できたことはとても勉強になりましたし、何よりも楽しかったです。
イギリス菓子って、これが伝統だから、これが本物の味だから、コレ!という決定をすることが難しいと感じます。
今回のベイクウェルプディングにしてもスコーンにしても、基本のキはあっても作り手が変わると全く変わってしまう。
根本的に家庭菓子が多いことから同じ名前でも様々に変化していってしまうので、 自分はイギリス菓子を作るにあたって、本を読み解いたり、現地で食べ歩いたりして基本や伝統を大切にして菓子作りをしていきたいと考えていますが、今回の旅での体験、イギリスで感じてきたことを盛り込める菓子作りをしていきたいなと改めて思いました。
今回のベイクウェル・プディング、残りの休み中に試作をして、お店に並べられるようにしたいです。できれば9月の月替りメニューとして、試作が長引けば10月までには…
私達が食べやすい味に調整はあまりせずに、現地で食べた味をできる限りそのまま再現できればと考えています。チャレンジメニューとして登場となりそうです。
今回の他のイギリス旅行記はブログの方へちょこちょこアップしていきたいと思っています♪ご興味がございましたらそちらもぜひ♪
本当に長々と書いてしまいました^^;
ここまでお読みくださいましてありがとうございました!
これより試作がんばります!
9月に皆様にお会いできることを楽しみにしております♪